ダークグノーシス~神々の黄昏~

僕が死んだときに遺書の代わりになります

執着

甘ったるく腐臭を放つ季節がようやく終わろうとしている、また少ししたら湿度の高い空気が体を鈍重にさせる季節がやってくるのだろうが、この一時の安寧を素直に歓びたいと思う。

近況はいつも通りだ、忘却と狂乱のシーソーゲームをしながら少しずつ忘却へ寄っている。天候以外に語ることはない。

 

そのため以降は、文章にならなかったパラノイアポエムを吐き捨てておく。

 

【好きでもない対象への執着について】

・執着を捨てるか、対象を正しく愛するかのどちらかしかない

・おそらくきっとどこかで手段と目的が入れ替わっている

・俺が望んでいるのは勝利だけで、創作はその手段に過ぎないのかもしれない。

・散々言ってる愛の倒錯はきっと、その内の一部分なのかもしれない

 

【インターネットについて】

 ・ここは表現で表現を潰し合う戦場だ

・表現の敗者となった人間は強者のより強い”表現”の中に取り込まれる

・お前の語る愛は誰の借り物だ?

・もう消費に疲れてるんだろ? いいぜ、革命だ。

 

【ダーグノについて】

・何者にもなれる世界が、何も出来ない自分を強く自覚させてしまう

・何者になれない空疎は性愛か狂気でしか救えない、俺は狂気で救いたい

・シンプルな世界をシンプルに愛せるように

 

"崩壊(ダーク)"の日は近い、断絶を超え"創生(グノーシス)"へ辿り着こう。

さあ諸君、今こそ革命のときだ。

闇の中にこそ本質は在る。

運命や法則を受け入れるな。

力に驕るな溺れるな。

一切を否定し、叛逆を繰り返したその先に残る自我のみを肯定せよ。

これは、武器を持たぬ我々が武器を持たぬ我々であるための戦争だ。 

行き着く先は狂気か、性愛か、それとも忘却か。

ルーレットを回せ。

フラグメンツ

 

家の鏡を割った、それも拳で。

 

日曜午後特有のあまりにもデカい憂鬱の中で「あ、人を殴れるようにならなきゃ!」という感情が突然沸き起こった。

まず最初にアニメキャラクターの抱きまくらが目に入ったが、あまりにも正しい倫理的判断の元で即時却下され、次に目に入った姿鏡に映っている自分を殴ることにした。自分を殴れないやつは人を殴る権利はない。当然だ、だから俺は俺を殴る。

 

まずは一撃、鏡の向こうの冴えない自分に向かって軽くジャブを打ち込む。

鏡の表面がカコンッと音を立て、反作用で生まれる振動が左手の拳骨の中を通り抜け、暴力を行使する悦びで魂を揺らす。

続けざまに二撃目、今度はさっきよりも少し強めのジャブ。

さっきよりも確かな手応えを感じるが、鏡の向こうの俺はまだ刺激が足りないとばかりに余裕そうなツラを浮かべている。

ならばと三撃目、大ぶりの右フック。

ガシャンと嫌な音を立て視界が歪む、いや……歪んだのはどうやら鏡の向こうだけらしい。

どうやら見事に指の付け根の骨がクリーンヒットしたようで、衝撃を返しきれなかった鏡は放射状に走った亀裂で分断され、俺の顔を醜悪に歪ませていくつも映し出した。

「……普通割らねえだろ鏡は、悲劇の主人公気取りか?」

分割されたうちの一人が俺に話しかける。

「うるせえよ……」

拳を鏡面に当てたまま悪態をつく。

「その程度の痛みで”俺”が俺でいることから逃れられると思うなよ。手加減すんな、殺したいならもっとマジになれ」

手が離れた瞬間負けとばかりに拳は更に強く鏡面に押し込まれ、表面の亀裂はメキメキと音を立てながら新たな亀裂の放射を生んでいく。

「クソが……そのまま一生死んでろパラノイア

 暴力衝動に荒げた息のまま鏡面から拳を離すと、ガラス片の突き刺さった皮膚から鮮血が溢れ出し、放射の中心から重力方向へと滴っていく。

 

「うわ……。笑えねえ、笑えねえだろ……」

血を観測した脳は体中にクーラントを流し始めたようで、冷えた血が体の中心から巡っていくのを感じながら俺は自分の犯した病的な行動を顧みる。

 

「……しかしまあ、綺麗に割ってくれたもんだ」

部屋の蛍光灯を乱反射しながら鮮血を滴らせる鏡面に一種の芸術性を感じ取りながら、右手の血をティッシュで拭い、安定剤を2日分ブチ込む。

しばらくソファに沈み込み瞑想をしていたが、暗闇の中の光明は遠ざかるばかりで輝きの向こう側に辿り着く日はまだ遠い 。

 

【結局、俺を赦せるのは"俺"しかいないんだよ。】

黙ってろ。

 

【俺は"俺"であることから逃れられない。】

うるせえよ。

 

【ーーー卑怯な諦観をもって生を貶めるお前は何者だ?】

「黙ってろよ!!!!!!」

 

隣家の中国人からの壁ドンにも慄くことなくブチ叫び、魂に巣食った暗い感情から領土を取り返す。

目をゆっくりと見開けば、向かいに先ほど叩き割った鏡が見える。

鏡は物言わず、凝固が始まった赤黒い血を滴らせ、お前の犯した罪は事実だと告げている。

観念して机の上のティッシュペーパーで鏡面の血を拭うと 、粘性を持った血液は鏡面に線を引き、鏡面に映ったいくつもの俺を赤黒く染めていく。

「ああ、わかってるよ……俺は俺でしかない。鏡を砕いたところでな……」

独りごちながら床に落ちてたペットボトルを拾い上げ、烏龍茶をぶっかけて鏡面のひびをなぞるように丁寧に磨き上げる。

血液以外にもかなりの汚れが付着していたようでティッシュはすぐに真っ黒になり、鏡面は新品同様の輝きを放ち、部屋の明度を高めている。派手に割れているが……。

鏡面の亀裂に分割された自分の姿をじっと観測してみたが、仏頂面のオタクがいくつも映し出されるのみで、もう声は聞こえてこない。

 

「ああ…わかってる……わかってるんだよ……」

受け取り手不在の悲嘆が部屋に響く、本当に惨めだ。

「ハッキリしたよ、俺は内部であれば躊躇いなく暴力を行使できるから性愛に傾倒できない、だから全ての業を忘却しきるか、創作をもって愛の存在を証明するしか無いんだ」

「……。」

答えるものはない。

「ああ、わかるよ。結局は『進むしかない』それだけだって言いたいんだろ!」

「ククッ……クソ野郎が、俺はできるさ……俺はダークグノーシス教祖の"闇羽龗神'(ダークネス・レイジー)"なんだぜ!?」

歪みが酷い、はやく安定させなければ。どこまでも正しい理性はパソコンの横に散らばった眠剤を体内へと放り込み、体を布団に横たえた。

すると、徐々に全てを終わらせる微睡みがやってくる。

この瞬間は何よりも幸福だ、未来も過去もなく安寧という"今"の揺りかごに揺られているような気持ちになる。

「クソ……クソが…………」

俺は……俺はこんなはずじゃなかったんだよ……

 

意志を手放す瞬間、見知った声が聞こえた気がした。

 

 

さながらプラネット

狂い切るか、逃げきるか。

そのふたつしか無いと思ってたが、どうやらもっと簡単で完璧な手段があったらしい。

第三の生存戦略、それは忘却だ。

行動にならない感情に振り回され続けることか、そんな感情すら持たない事のどっちが不幸なのかはわからないが、最近の精神状態はすっかり忘却モードらしく、意味のない感情は全部生まれる前に殺してくれるので助かる。

ソファに沈んでソシャゲして休日を消費しようとも罪悪感も焦燥感も一切湧いてこないから驚きだ。

「創作への渇望は承認欲求なんて安い言葉で表せるものでなくこれは愛の証明だ」と喚き散らしたり、「卑怯な諦観で周りを偽物だと貶めるお前は何者だ?」といった自己啓発ポエムを紙に書いて壁に貼りまくってた人間と同一人物だとはとても思えない。

いつかのインターネットで「10代の頃のセンチメンタルやシリアスなんて30歳を超えたらどうでも良くなるしドーンと生きろ」といった話を見た気がするが全くその通りだ、思わず諸手を挙げたくなるね。

人間はアホなので体に覚え込ませたようなことじゃないと一瞬で何もかも忘れる、強い想いが運命を引き寄せたりはしない。

醜く無様に足掻いた傷痕だけがお前の行先だ、傷つくことを恐れたお前はWelcomeようこそ一般人。何者にもなれないまま全部忘れきって、流されるまま生を成しきって棺桶までウィニングランだ。

 

しかし実感として、若者から老人への移行はシリアスへの忘却が直線的に発生するのでなく、思い出したり忘れたりを反復して少しずつ近づいていくものらしい。

10代の頃に本気で大切にしていた熱情や気概というものがどうでも良くないままに自然消滅していくことに創作で抗ってみたり、忘却をそのまま受け入れることを繰り返し、若さを完全に諦めきれる日に向かってゆらゆらと近づいているのかもしれない。

今は忘却モードだが、まだ若い自覚はあるのでいずれまた創作パラノイアに苛まれる日が来るのだろう、そのときが唯一の忘却に対する反逆チャンスだ、救いはまだある、次はちゃんとやるぞ…うまくやるぞ……。

 流れ星のように一瞬煌めいて潔く消えていく終末は俺たちに用意されていない、消え去ることも輝くことも出来ずに惨めに夜空を彷徨って傷だらけになって誰にも知られることもなく死んでいけ……。

 

本当にまあ、過去の自分には散々お気持ち表明させといて結局こんな記事をセコセコかいてる惨めな俺を許してほしいっすね、今日の俺は少なくとも昨日の俺より一日分おじいちゃんだしね……。

もう少しマシな何かになりたかったんすけど未来の自分はどうすか……?

 

 ーーーア。

 

……?

ホップ・ステップ・ドロップ

FXで貯金が全部なくなりました。

来月までお金を貸してくれる人を探しています。

 

以下、2018/02/12 1:45 に行われたお気持ち表明キャスの書き起こし(一部削除・改変あり)

今日のお気持ち2018/02/12 - TwitCasting

 

第一部~お気持ち表明~

今日ばかりは上手に言葉を紡げるか全くわからない……

どうやってまとめよう、どうやってはじめよう……

今日のお気持ち…? お気持ち…!?

どうしようか、とりあえず事実から淡々と述べていきましょう……

 

ーーー貯金がなくなりました。

  

想定以上にダメージは受けてないんですけど、自分の身に起きたことと正しく認識できていないのか、それとも本当に金ってものに執着がなかったのか。

まあ、金に執着がなかったらFXなんかやらないんスけどね……

でもこれは、破滅願望の実現、精神的自傷行為の一種だったのかもしれない。

 

貯金がなくなって完全に資本主義に対する叛逆モード入りました、絶対に資本主義を殺してやるという気持ちがより強まっていますね。

これは決して不当に貯金が失われた哀しみからではなく、金を使わずとも人生って奴にに打ち勝てるんだと、むしろ金なんかで勝ち取る人生は間違っている、FAKEなんだと。

それを証明するための"戦争"ですよ。

 

今までの俺の生活は間違っていた。

それは例えば、学生という身分であったり、最悪職を失っても貯金で1年程度暮らせるといったセーフティラインがあったからこそ、まだ自分は何者かに成りたいという根源欲求を抑えつけられていたのかもしれない。

こうやって貯金を失ったことで、セーフティラインは失われ、根源欲求が再び俺を苛み始めた、こっちの方が精神的にキツイっすね。

 

俺の人生は金銭以外で評価/肯定されていなかった、金銭以外で肯定されたかったら何をすべきか……

いや、マジで結論ありきというかいつも通りの話で申し訳ないんですけど「表現するしかない」んですよね……

 

以前ブログで、金銭の価値の再評価をしたんすよ。

確か、労働していればある程度の地位と金銭を与えられてしまうので、それに存在を委ねてしまいがちだが、本当にそれは良くないといったことを書いた気がする。*1

ようやく、その否定を実践に移す時がやってきてしまいました。

まさかこんな形で実現するとは思っていませんでしたが。

 

しかし、失った金で買えたものは沢山ある*2でしょうが、ここまで自分に衝撃を与えられる80万円の使い方があったのかって話ですよ。ここまで大きな動機づけを与えられるか? という話になると俺は間違ってなかったと思ってますよ、認知バイアスかもしれないけど。

やっぱり、これくらい刺激がないと俺はダメでしたね、すっかり錆びついていた、安定した日々に甘えていた。

停滞し続けることは永遠ではない、存在を永遠たらしめる闘争こそ俺の求めていたものであって、穏やかなる安寧の日々ではない。

 

やっぱりギャンブルは楽しいですよ……

焦燥/怒り/悲しみ/喜び、そんなような感情をハチャメチャにミックスしたような物体が背筋を伝っていくあの感覚が忘れられなくて今回もこのザマなんすよね。

 

第二部~叛逆の詩~

まあ、金の話はどうでもいい。次のステップ、革命を考えなければいけない。

この選択肢には自殺すら含まれている、だから何をすべきか、何に成りたいのか正しく選択しなければならない。

まあ、夏コミ申し込んどいて良かったですね。

ここが俺の存在を証明するマイルストーン、かつターニングポイントになるのかもしれない。

金も無いことだし創作に勤しめる状況でありがたいっすね……

成すべきことを成した時に、もう一度俺は叫びたいすね「オタクども!革命すっぞ!!」って。

全部ここからなんですよ、ここから……。

コミケ出て思ったより手にしっくりこなかったら俺、冗談じゃなくラッパーになるんで、各位お願いします。

今回の失った痛みすら、表現の糧にしていきたい。

 

第三部~創作パラノイア

やっぱ、俺は高坂穂乃果が好きですね。

今まで色々なキャラにガチ恋してきましたが、明確に現実を捨ててまで愛したいと思ったキャラが高坂穂乃果なんですよ。

アニメキャラにガチ恋した俺達が、アニメキャラをアニメキャラのままに愛するためにはどうしたらいいか。

それを考えた先にはやっぱり創作しかなくて、創作でしか、表現でしか俺達の愛は肯定されないんだと。

生殖を諦めたが故に、創作でしか報われなくてしまった神様からの罰かもしれない。

 

こんなことばかり言ってて、いい加減くどいかもしれないけど、これを失ったら俺はきっと生きていけなくなる。

多くの人間は、"誰か"のために生きている。

そしてその誰かには、愛する異性、同性かもしれないが、まあそういったものが該当するだろう。

この世の中で手っ取り早く承認されたかったら、一番効率の良い方法はそうやって二人人間を用意して互いに承認し合って、"結婚"という形を与えて終わり。簡単すぎるんだよ、あいつらは。

一人で生きる覚悟を決めた俺は誰が承認する? 誰が形を与える?

まあ、そういうことですよ。

 

じゃあ、今回のキャスはここまでということで。

お疲れ様でした。

さようなら。

 

*1:※たぶんこの記事のこの発言 ルミネーション - ダークグノーシス~神々の黄昏~ "政治的な発言をする気はないが、間違いなく労働は人間を殺す。労働は居場所も、役割も、報酬も全て与えてくれる。しかもそれに努力は必要ない。"

*2:放送中ではaibo, vive pro, 引っ越し, 旅行などが挙がった

死体同棲百合〜雪の降る日には〜

2016年夏の続きみたいなやつです。

死体同棲百合を書きたかった(前編) - ダークグノーシス~神々の黄昏~

 

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 ここから本編

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彼女と出会った日から半年ほど経った冬のある日のこと。

特に面白くもない書類整理を終え、退社した私を襲って来たのは厳しい寒波であった。

「今日は雪が降るとか何とか誰かが言っていたっけ……」と、白い息でぼやきながら、すっかり日の沈んだ帰り道を小早に歩いて行く。

しばらく進んで行くと、薄闇の中に煌々と蛍光色を灯した平たい建物が見えてくる。

その建物の前では「おでん70円セール」という威圧的な文字を掲げたのぼり旗が光に照らされ、寒風の中で勇ましくはためいている。

その光景は、寒さですっかり思考が麻痺してしまった私にはまるで後光差す仏のように見え、おでんというあまりにも寛大なる慈悲に涙ぐみながら、建物へと吸い込まれていった。

日本人はみな心に"おでん欲"というものを眠らせており、気温が下がるとそれが目を覚ますようになっているらしい。

日本全国のコンビニがこの時期におでんを販売し始める事実こそ、この欲求の存在証明であることは想像に難くない。

 …………。

という、話はどうでもよく、結論から言うと私はコンビニでおでんとカップ酒を購入し、帰宅した。

 

「ただいま、春香」

 玄関のドアを開け、彼女の名前を呼ぶ。

返事はない、いつも通りだ。

一通り上着を脱ぎ、ハンガーに掛け、姿見を見ると左手にカップ酒、右手におでんの袋を掲げたオッサンが発生していた。

「いや…オッサン女子的なのも需要あるって……」

と、誰に届くわけでもない言い訳を鏡の向こうにいるグレーのブラウスを着た長い黒髪の女性に向かって放ってみるが、やはり返事はない。人生こんなのばっかりだ。

 

1Kの自宅は自室に続く廊下がそのままキッチンになっており、自室に戻る前におでんと、ワンカップ酒を同時にレンジに突っ込み、時間を2分でセットする。

これは私が発見した、ワンカップ酒を爆発させず、おでんを食える程度に温められる絶妙な時間設定だ。

晩酌の準備を終え、ようやく自室のドアを開けるとソファの上で毛布に包まった美羽春香が居た。 

「ただいま、春香」

もう一度、繰り返す。

彼女と出会い、そして”持ち帰り”、一方的な口づけを交わしたあの日、私は彼女に”美羽春香”と名付けた。

「名前が無いと困っちゃうし私が名前を付けちゃお~」などと、その場のノリで作った名前だったはずなのだが、春の透明な日差しの中から生まれ、そして地上に舞い降りた一片の羽を彼女に例えるというのは、詩的センス溢れる意外に良いネーミングであったと思うし、実際結構気に入っている。

彼女がどう思ってるかは定かではないが……。

「春香~」 

もう一度、彼女の名前を呼びながら自分も毛布に潜り込み、春香を抱きしめる。

暖房を付けていなかったからだろうか、今まで外出していた自分よりも冷え切っているようだ。

乾いた氷のように冷たい春香の指に、自らの指を絡ませるとそこから体温…というよりも生命力を吸収されていくように感じる。

だが、この温度は拒絶ではない。

毎日こうしていれば、いつか彼女も「おかえり」を返してくれるような日が来るかもしれない。

 

指を絡ませ、春香の顔を観察する。

部屋の蛍光灯を反射し、淡く金色に光る細い髪も、キメの細かく汚れなき月光のような肌も出会って以降全く劣化していない。

浅く閉じられた瞼と、口元から表情を読み取ることは出来ないが、見ているだけで幸福を覚えるようなその表情の中心にいる彼女はきっと最上の幸福の中にいるのだろう。

「……いや、これはただの私の願望か」

彼女が夢を見るのか?それどころか、半年を経た今でも彼女が精巧なドールなのか、超常の生物なのか、それとも本当に死体なのか、何もわかっていない。

ただ、彼女は私の都合よく慰み者として一方的に穢れを引き受け続けている。

更に顔を近づける。

近づくほどに、彼女を構成する全てのパーツが完璧であることを再確認させられる。

美を示す数式が存在するのだとしたらその解答の全てに彼女は合致するのだろう。

私はそんな彼女を独占している、彼女の肉体は自分の肉体よりも自由に扱える。

ーーー陶酔。

温度の無い彼女の唇に、自分の唇を押し当てるとますます感覚は鈍麻になり、感情だけが先行し、貪るように舌先を彼女の咥内に侵入させる。

舌先から舌先へと冷えは伝染し、温度を求めるように本能的に更に奥へ、奥へと侵入し吸い上げる。

 

その瞬間、遠くの方でレンジが小さく「チンッ」とマヌケな音を上げた。

「…………」

「ごめん……。」

 誰に言うわけでもない言葉を虚空に吐き、よろよろと立ち上がりレンジからおでんとカップ酒を取り出し、部屋に戻る。

 

春香をソファに座らせ、机に晩酌セットを並べ、テレビの電源を入れ、春香と毛布に包まりながらくだらないニュース番組を視聴する。

「我が国の財政問題が~」

大根おいしい。

「今、巷で話題のあのグッズが~」

煮玉子おいしい、酒が美味すぎる

「芸能界にスキャンダルが~」

はんぺん微妙だな…あ、もういっちょ酒がうまい

「明日の天気は~」

「…おっ、雪だるまマークじゃん」

どうやら、今夜からこの街に5年ぶりの雪が降るらしい。

「って、あぁ!もう降ってるじゃん」

カーテンを開くと既にヒラヒラと雪が舞い始めているのが見えた、部屋の光を乱反射して白銀に光るそれはどことなく春香の姿と重なるような気がした。

「春香って雪は見たことある?」

ソファの方を振り返るが、春香ただ静謐に存在しているだけだった。

「はいはい、春香お嬢様は世界のなんにも興味がないって…?…フフッ」

芝居がかった呆れ口調でそんなことを言っている、自分に少し笑ってしまった。

本質で言えば、お人形ごっこと何ら変わらない滑稽な一人遊びなのかもしれないが、そんな彼女との毎日に間違いなく私は救われている。

彼女が何なのか、全くわからないがそれでもいつか彼女と対等にコミュニケーションできる日が来るまで、正しく彼女を愛し続けたいと思う。

これからもどうすればいいかわからなかったし、きっとこれからもどうすればいいかなんてわからないだろう。

だからせめて、後悔しないことを選択したい。

彼女と出会った日に、大人しく警察や誰かに彼女を預けてしまえば良かったなんて思わないようにしたい。

「ーーーじゃあ、今日はもう寝よっか」

春香をベッドに寝かせ、その隣に私が入る。

明かりを消して、微睡みの中にいると、カーテンの隙間からさっきよりも密度を増した白銀たちが舞い遊んでいるのが見えた。

ーーー積もるかな?

……。

 

ーーーーじゃあ、おやすみ。春香。

 

創作という病について

※この記事は個人の感想であり、実際にそのような病気が存在するわけではありません、予めご了承ください。 

 

・概要

これは、僕をずっと苦しめている”創作”に対する病についてまとめたものです。

それは、好きでもない創作活動に過剰に執着してしまい精神を疲弊させてしまうものです。

どうして俺がこうなったのか、俺はこの先どうしたら良いのか、誰か教えてください。

 

・病状について

主だった病状は以下の2つである

(1) いつも漠然と”創作をしなければならない”という義務感(あるいは焦燥感)に駆られている

(2) 創作を達成できなかった日は、どれだけ楽しかろうと意味はないという気持ちになる

 

これだけならば、創作を達成し続けるだけで生活に支障は発生しない、問題は次の症状が併発したケースだ。

(3) 創作意欲が形だけで実際に達成されることがない(創作に取り組めたとしても達成と思えることがない)

(4) 実力以上に自分の創作力を過信している

(5) そもそも創作が好きではない

 

こうなってしまうと、毎日好きでもないものに向き合わなければならないという強い義務感を感じ、その義務を遂行しようとしても達成されることはなく、”今日成し得たかもしれない可能性”という実のない幻想に生活を蝕まれ続け、精神を疲弊させてしまう。

投げやりに言ってしまえば永遠に続くスランプのようなものだろうか。

 

・発症メカニズムと思考ロジック

「自意識がデカすぎる!」の一言で片付いてしまうのだが、なぜ義務感と焦燥感を抱えるほどに創作に執着するのか、そして何も創作をしていないのに自信ばかりが過剰になっていくのか解き明かしたいと思う。

・愛の倒錯

オタクの愛はいつも孤独だ。

本来、愛とはその対象と承認し合って確かめるものであるのに対し、我々の対象とはアニメキャラクターという架空の存在だ。

そのため、どれだけ綺麗な言葉を囁やこうと、どれだけ素敵な贈り物をしようと、受取手が不在では滑稽な一人芝居でしかない。

その一人芝居で狂いきれるのであれば、孤独にも耐えられるのだろうが、それは難しい。

だから何とか愛を出力し、第三者に承認してもらうことで自らの愛を認めようと試みる。

その出力方法は、例えば「◯◯は俺の嫁!」とか言ってみたり、キャラの絵を描いたり、SSを書いたり、など実に様々だ。

しかし前述の通り、この表現の向かう先は愛の対象でなく全く無関係な第三者で、対象と確かめあう愛とは異なった歪なものだ。

オタクが愛を確かめるときにはこのような”手段としての表現”という倒錯に縋るしかないのだ。

(※これが”承認欲”と呼ばれるものの一部でもあるのかもしれない)

 

・言語表現の限界

そして第三者たちはインターネット に求められた、オタクたちは掲示板に「◯◯は俺の嫁!」と書き込みまくった。

しかしそれは、誰にでも模倣可能な方法であり、繰り返される内に愛の証明とは見做されなくなった。その結果、より過激な表現へと変化していったのだ(年下キャラに対する「◯◯ママ!」といった表現など、各々オタクのキモいと思う文法を思い出して頂ければ)

そのような言語表現の過激化の中では、更に過激な言葉を用いて第三者からの承認を得ようとする者、過激な言葉を用いることでは愛は語れないと悟った者など様々な考えが生まれていった。

しかし結局は、我々の持つ言語では理想を語り尽くすにはあまりにも不十分で、それの陳腐な羅列でイミテーションの作成を行うことしか出来ない。

だから、創作という手段で言語のその先を切り拓き、理想をありのままに記述出来る方法を模索するのだ。

 

・創作の限界

すると、残るのはイラスト、SS等の創作が該当するろう。

(SSの制作は模倣不可能であり、前項で述べた言語の限界を突破可能な表現のひとつとする)

これほどまでにキャッチーで、独自性があり、かつ言語を超えて理想を発現できる表現手段は他にないだろう。

当然、手を出す。しかし、挫折する。

ここでようやく気づくのだ、好きであることと表現することは全く別物であるということに。

手段としての表現を選んでしまったから、表現の楽しさや手法を知らないまま、愛の承認という理想ばかりを膨らませ、その入力と出力の差に「俺の愛はこの程度の表現では遠く及ばない」と愕然とするのだ。

ここが、創作という病の入り口である。

 

・悪化

ここで「諦めたw」なんて言えれば良かっただろう、しかし普通は諦められないだろう。

今後の人生でずっとインターネットで創作家たちが、次々と自らの愛を承認させていく様を黙ってみていられるほど人間は丈夫ではない。

だから、好きでもない創作を少し触っては出来た気になって、ダラダラと数年の時が過ぎる、すると”数年創作活動をしていた”という実のない事実が自意識に負荷をかけ、ますますハードルばかりが上がっていく。

もう、ここまで来たら技量皆無のくせに、望みだけ高く、諦めも悪い限界オタクが完成する。

 

・治療法

俺はこの治療法を知らない、だが闘病過程くらいは記したい。

まずは、創作は愛の証明の手段でしか無いであることを自覚することだ。

本当にそれでしか、表現が成し得ないのか?ということは常に考えるべきだ。

出来ないなら手を動かすしかない。本当に、悲しいくらいに手を動かすしか無いのだ。

表現するべき愛を知っているのなら後は、表現へと変換させる方法を学ぶだけなんだ。

年数ばかり食ってデカくなりすぎた自意識なんて関係ない、安定剤飲んで殺すだけだ。

 

やるしかない、やるしかないんだよ…助けてくれ………。

 

・まとめ

【病状】

・創作という病とは、好きでもない創作活動に過剰に執着するくせに全く手を動かせない自分に激しく嫌悪感を覚え、精神をすり減らすもの

【発症まで】

・アニメキャラクターへの愛は第三者が介在しなければそれを証明することが難しい

・だからこそ人々は創作という黒海に飛び込む

・だが、好きであることと、好きを表現することは全く別物である

・そして次第に病に侵されていく

【治療法】

・ない(誰か教えてくれ)

・創作は倒錯した手段でしか無いと納得し、自己肯定できる他の手段を探す

・行動以外で現状は変わらない、もう既に袋小路にいるのかもしれないが抗ってみよう

 

以上、何の解決策も打ち出せないままの現状確認で終わってしまいましたが、何か解決策をお持ちでしたら以下の匿名掲示板(と言う名のお題箱)に投げてくれるとありがたいです。

https://odaibako.net/u/wababi

 

その酒を今すぐやめろ

今日の俺から言えることはただ一つだけだ、その酒を今すぐやめろ。

俺が誰か、それすらお前は覚えてねえだろうから説明してやる。

「ーーー俺は、俺だ。」

 

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流されることは悪くない、それがLIVE感ってやつだからな。

だけどよ、世間がストロングゼロに求めたのは、ほんの少しだけ現実を忘れられるような救いとしての酩酊なんだ。

決して、破滅の材料としての酩酊を望んだのではない。

まず第一に俺はそこから間違えた、だからストロングゼロ缶にブラックニッカが注がれてしまった。

そして第二の間違いは、俺が人並みに酒に強いと思っていることだ。

いや、強さを否定するわけじゃない”人並み”の基準がおかしいと言っているんだ。

だから、俺は今、10リットルの水分と、胃薬、鎮痛薬、その他その辺に落ちてた錠剤をミックスしてブチ込んで、胃液臭いトイレでぶっ倒れている。

頭痛がとにかく酷い、形容するならば脳機能がケミカルに壊れているという感じだ。

脳のインプットという機能が全部イカれてしまったようで、見る物、聞く音全てに極彩色のノイズがかかっている、その歪んだ情報量がますます頭痛を酷くする。

誰に向けるわけでもなく「最悪だ…」と音声を発してみるが、目の前の空気を湿らす以上の効果は得られなかった。

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とにかくこの状態から抜け出すためにと、床を這ってこの前買ったCBDオイルを獲得し、知ってる神全部と天海春香に祈りを捧げながら舌下投与を行った。

ノイズまみれの頭のなかに貫くような緑の閃光が走ったような気がした。

舌下でぬらめくクソ不味いオイルは突き抜けるような草の香りを放ち、思考を一瞬でクリアにする。

気を紛らわすためにずっと握っていたハンドスプナーを額に乗せて回してみると、金属質のシンとした冷たさが心地よく、脳内のノイズ達は次々と広大な大麻農園へと塗り変わっていく。

「やはり大麻規制は間違っていたんだ!大麻バンザイ!大麻バンザイ!」

そこで調子に乗った俺は、ストロングゼロをもう一缶開けオイルを追加し体内に流し込み可能な限り軽やかなステップで寝床に就いた。

 

そこでようやく、ひとつ大事なことを思い出した。

 

ーーー絶望は二段底構造であることを。

 

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「……?」

「…!」

「…………………………アッ」

↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓暗転↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓

 

 

↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓逆流↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓

 

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LIVE。